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第270章 母さんよ、山が崩れた!_1

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山肌が一瞬でバウンシーボールに変わったかのような錯覚を、北原秀次も感じました。洞窟が縦に伸び、天井が一気に半メートルも高くなったように思えました。彼は素早く反応し、体勢を保ちながら転倒しかけた鈴木希を掴みました。「パニックにならないで、互いに支え合って外に逃げろ!」と大声で叫びました。

本当に焦る必要はありません。彼が日本に留学してきてわずか8ヶ月で、明らかに感じる地震に4回遭遇しました。平均すると2ヶ月に1回で、日常的とは言えませんが、稀な現象とも言えません。でも、揺れが少し止まったところで、洞窟の中に留まるわけにはいきません。生き埋めになったら大変ですからね。

地震には三つの波が発生します:縦波、横波、面波。

縦波は伝播波で、伝播速度は速く、約5-7キロメートル毎秒で、最初に地表に達します。地表を上下に動かしますが、破壊力は高くありません。横波は剪断波で、伝播速度は中程度、約3-4キロメートル毎秒で、二番目に地表に達します。地表を前後左右に揺らしますが、破壊力は中程度です。最後に面波、これは縦波と横波が地表で交わった時に生じる混合波で、波長が長く、振幅が強いです。地震の破壊力の主な原因はこれによるものです。

ですから、地震が発生したとき、縦波と横波の間の時間差が、逃げることと自助のための鍵となるのです。震源の深さや距離によりますが、通常、逃げたり自助したりする時間は5~6秒から十数秒あります。テレビ番組でよく見る「地震警報」もこれに基づいています。どれだけ遠くに逃げられるかはわかりませんが、たとえテーブルの下に隠れるだけでも、被害の確率を効果的に減らすことができます。

もちろん、これは遠くのことを指しています。大地震に直接遭った場合、震源地にいると基本的には助からず、死亡または行方不明率は93%以上に上る。

冬美も急いで弟たちや妹たちに外に出るよう命じました。流石に洞窟の中にいると地震が来るという状況では心配になるからです。夏織と夏沙もためらわず、慌てることなく頭を抱えて逃げました。その中の1人が数歩逃げた後で、不意に戻ってきて五円硬貨を出し、貯金箱に入れて叫びました。「お金、返したよ!」

もう1人も独りで逃げることはなく、仲間のためにその場にとどまりました。「お金、また5円やるよ!」と叫びました。

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